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A Book of Old Ballads — Volume 4

Unknown

A blood-soaked secret unravels, revealing a son's heinous crime and a king's perilous test of love.

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This excerpt from 'A Book of Old Ballads' features traditional songs. The full text of 'Edward, Edward' reveals a son's chilling confession to his mother about killing his father, detailing his escalating lies and the dark consequences he faces, including self-imposed exile and the abandonment of his family. The excerpt also begins the legendary tale of 'King Leir and His Three Daughters', hinting at the king's fateful decision to divide his realm based on his daughters' declarations of love.

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古バラッド集

選と序文

ビヴァリー・ニコルズ



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目次

エドワード、エドワード
リア王と三人の娘たち
ハインド・ホーン
ジョン・ブラウンの遺骸
ティペラリー
イズリントンの代官の娘
三羽のワタリガラス
ガバランジーの男
アッシャーズ・ウェルの妻
偽り
レディング監獄のバラッド

これらのバラッドの出典は、本書の巻末
の付録に記載されている。

カラー図版一覧

ハインド・ホーン
イズリントンの代官の娘
三羽のワタリガラス
アッシャーズ・ウェルの妻

エドワード、エドワード

250.jpg (98K)

なぜそなたの剣はかくも血を滴らせるのか、
                                エドワード、エドワードよ?
  なぜそなたの剣はかくも血を滴らせるのか?
            そしてなぜかくも悲しげに行くのか、おお?
  おお、わが良き鷹を殺めました、
                                 母上、母上よ。
  おお、わが良き鷹を殺めました。
                   そして我には彼しかいなかったのです、おお。

汝の鷹の血は、かくも赤きことなし、
                                  エドワードよ、エドワードよ。
  汝の鷹の血は、かくも赤きことなし、
                    わが愛しき息子よ、汝に告げん、おお。
  おお、我はわが赤毛の馬を殺しぬ、
                                  母上よ、母上よ。
  おお、我はわが赤毛の馬を殺しぬ、
                   かつてはかくも美しく自由なりしを、おお。

汝の馬は老いし、されど汝はさらに得たり、
                                  エドワードよ、エドワードよ。
  汝の馬は老いし、されど汝はさらに得たり、
                   他の悲しみ汝は負うべし、おお。
  おお、我はわが父上を殺しぬ、
                                  母上よ、母上よ。
  おお、我はわが父上を殺しぬ、
                   ああ!そして我は悲しきかな、おお!

そしてそのために汝はいかなる償いを負うべしや、
                               エドワードよ、エドワードよ。
  そしてそのために汝はいかなる償いを負うべしや、
                 わが愛しき息子よ、今や我に告げよ、おお。
  我はわが足をかの舟に乗せん、
                                母上よ、母上よ。
  我はわが足をかの舟に乗せん、
                    そして我は海を渡りゆかん、おお。

そして汝は汝の塔と汝の広間をいかにせん、
                                 エドワードよ、エドワードよ。
  そして汝は汝の塔と汝の広間をいかにせん、
                  かくも見るに美しきを、おお?
  我はそれらを倒れ落ちるまで放置せん、
                                   母上よ、母上よ。
  我はそれらを倒れ落ちるまで放置せん、
                    なれば我はもはやここにはおらぬゆえ、おお。

汝が子らと妻には何を残さんとするや、
                                      エドワードよ、エドワードよ?
  汝が子らと妻には何を残さんとするや、
                      汝が海を渡りゆく時、おお?
  世の広き場所にて、彼らには生を乞わせん、
                                 母上よ、母上よ。
  世の広き場所にて、彼らには生を乞わせん、
                   彼らには二度と会うこと叶わじ、おお。

汝が愛しき母上には何を残さんとするや、
                                 エドワードよ、エドワードよ?
  汝が愛しき母上には何を残さんとするや?
                    我が愛しき息子よ、今こそ語れ、おお。
  地獄の呪いを我より汝は負うべし、
                                 母上よ、母上よ。
  地獄の呪いを我より汝は負うべし、
                 かくのごとき忠告を汝は我に与えしゆえ、おお。

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リア王と三人の娘たち

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リア王、かつてこの地に君臨せり
    王たる力と平和を以て。
  心ゆくまで万事を享受し、
    その喜びを増し奉るものなりき。
  自然が与えしものの中に、
    三人の麗しき娘を持てり、
  王たるに相応しき美しさにて、
    これに勝る美しさはあらざりき。

ある時、王は思し召し
    かくのごとき問いを発せり、
  娘たちのうち、誰が王の恩寵に対し
    最も深き愛を示しうるか。
  「我が老いし身に汝らは満足をもたらすゆえ、
    聞かせよ」と王は宣い、
  「汝ら三人のうち、誓いし誠実さにおいて
    最も優しきは誰なるか。」

これに対し、長女はかく語り始めぬ。
    「父上、心に留められよ」と彼女は言えり、
  「御前において、父上のためならば、
    我が血を捧げましょう。
  そして父上のために、我が血潮流るる心は
    ここで二つに引き裂かれましょう、
  尊き御身が
    いささかの悲しみをも負うを見るよりは。」

「私もまた然り」と、次女は申しました。
    父上、あなた様のために、
  いかなる苦難の極みも
    謹んで引き受けましょう。
  昼も夜も、あなた様にお仕えし、
    勤勉と愛をもって、
  甘美なる満足と安らぎが
    不快を取り除くよう。

「そうすれば、わが魂は喜ぶであろう」と、
    老王は答えました。
  「しかし、末の娘よ、そなたは何を申すか、
    そなたの愛はいかに結ばれておるか?」
  「わが愛は(と、若きコーデリアは申しました)
    あなた様の御恩に報いるもの、
  それは子の務めであるべきです、
    そして、それこそがわたくしが示す全てでございます。」

「そして、そなたはそれ以上示さぬのか」と、彼は申しました、
    そなたの務めが縛る以上に?
  わがよく知る、そなたの愛は小さきもの、
    これ以上見出せぬゆえに。
  今より、そなたをわが宮廷より追放する、
    そなたはわが子にあらず;
  また、このわが領土のいかなる部分も
    恩恵によりそなたのものとはならぬ。

そなたの姉たちの愛は、より深く、
    わが求める以上にあり、
  その者たちに、わが等しく与えん、
    わが王国とわが領土を、
  わが華麗なる地位と全ての財産を、
    それは、わが愛をもって
  そなたの姉たちと共に養われんため、
    わが死ぬる日まで。

かくして、甘言は名声を得たり、
    ここにいる二人の姉たちによりて;
  三女は謂れなき追放を受けしが、
    されど、彼女の愛はより尊かりき:
  哀れなるコーデリアは、忍耐強く
    さまよい歩き、
  助けられず、憐れまれず、優しき乙女は、
    多くのイングランドの町々を巡りし。

ついに、名高きフランスにて
    彼女はより優しき運命を見出しぬ;
  貧しく裸同然なれど、彼女はと見なされしは
    この地で最も美しき者と:
  そこにて、王が彼女の美徳を聞き、
    この麗しき淑女を目にし、
  その宮廷の全ての同意を得て
    彼は彼女を妃とし、女王となしぬ。

その間、父なるリア王は
    二人の娘と共に留まりしが、
  誓いし愛を忘れしゆえ、
    たちまちその愛は衰えたり。
  そしてリーガン女王の宮廷に住まううち、
    二人のうちの長女は、
  王よりその主なる財産を奪い、
    その従者の大半をも奪い去りぬ。

かつて二十人の者が
    膝を屈して仕えしに、
  彼女は十人にのみ許しを与え、
    その後はわずか三人にすら減らしぬ。
  いや、一人すら王には多しと見なし、
    かくして全てを取り去りぬ。
  善良なる王が、もはや己の宮廷に
    留まらぬことを望みてなり。

かくも報いられしや、と彼は言いたり、
    我が持つ全てを
  子らに与えしに、かつて与えしものを
    乞うとは。
  我はゴノレルへと赴かん。
    我が二番目の子は、知るべし、
  より優しく、哀れみ深きならん、
    そして我が悲しみを和らげん。

彼は急ぎ彼女の宮廷へと向かえり。
    そこで彼女が彼の嘆きを聞きし時、
  彼の財産が全て失われしことを
    悲しむと答えたるが、
  彼の窮乏を救う術はなし。
    されど、もし彼女の台所に
  留まるならば、
    下働きが与えしものを得べし、と。

彼は聞き終え、苦き涙と共に、
    その時、彼は答えたる。
  我が為せしこと、全ての人々の
    鑑とならんことを。
  我は再び、と彼は言いたり、
    我がリーガンの宮廷へと戻らん。
  彼女はかくも我を扱わぬと信ず、
    より優しき様にて。

彼がそこに着きし時、彼女は
    彼をそこから追い払うよう命じたり。
  彼が宮廷に留まることはないと
    (彼女は言いたり)。
  悲嘆に暮れし王は、再びゴノレルへと
    急ぎぬ、
  彼女の台所にて、下働きの子が
    残ししものを得んがため。

されど、かの地にては、先に彼女が約束せしこと、
  彼は拒まれぬ。
  一度拒みしゆえ、彼は再び
  その門を訪うこと叶わじ。
  かくして、娘たちの間で、救いを求め
  彼はさまよい歩きぬ。
  かつては王冠を戴きし身なれど、
  乞食の糧に飢えを満たすを喜ぶばかりなりき。

そして、その時、彼は思い出しぬ、
  末娘の言葉を。
  子の務めこそ、
  愛が与えうる全てなりと、彼女は言いき。
  されど、かくも追放せし彼女のもとへ
  赴くをためらい、
  彼は狂乱せし。彼の心には
  悲嘆の傷を負いしゆえ。

それにより、彼は乳白色の髪を引き裂き、
  頭髪をむしり取り、
  年齢と名誉に満ちし
  その頬を血にて汚しぬ。
  丘や森や泉に向かい、
  彼は時々刻々嘆きしが、
  ついに丘も森も、無情なるものどもも、
  共にため息し、うめきしごとく見えし。

かくも不満に満たされしまま、
  彼はフランスへ渡りぬ。
  かの地の美しきコーデリアより、
  より穏やかな運命を見出さんとの望みにて。
  いと高潔なる婦人よ!彼女は父のこの悲嘆を聞くや、
  務めとして、速やかに彼に
  慰めと救いを送りぬ。

そして、貴き貴族の一団により、
  勇敢かつ華麗なる様にて、
  彼女は彼をアガニッパスの宮廷へ
  連れてくるよう命じぬ。
  その王は、高潔なる心にて
  快く同意し、
  名声と勇気に傾倒せし
  武装せる騎士たちを召集せし。

かくして、速やかにイングランドへ来たり、
  レア王に王位を取り戻させ、
  彼の愛しきコーデリアの力により、
  娘たちをその玉座より追いやらんため。
  かの地にて、彼女、真心なる高貴な女王は、
  戦にて討たれしが、
  されど彼、善良なる王は、老いし日々に、
  再びその王冠を戴きし。

されど彼がコーデリアの死を聞きし時、
    まことに愛のために死せし
  その愛しき父のために、その大義のために
    彼女はこの戦いを起こせり;
  彼は気絶して彼女の胸に倒れ伏し、
    そこより二度と離れざりき:
  ただ彼女の胸にその命を置き去りにせり、
    まことに誠実なる心を持ちし者なれば。

貴族たち、彼らがこれら出来事の
    結末を見し時、
  他の姉妹たちを死へと
    彼らは合意により宣告せり;
  そして死して後、彼らの冠を
    次の血縁者に残せり:
  かくして汝らは傲慢の没落を、
    そして不従順なる罪を見たり。

ハインド・ホーン

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「ハインド・ホーンは縛られ、愛しき人よ、ハインド・ホーンは自由なり;
  汝はどこに生まれしや? あるいはどの国より来たりしや?」

「良き緑の森にて我は生まれしが、
  我が友は皆、我を見捨てし。」

「我は愛しき人に、華やかなる黄金の杖を与えし、
  それはスコットランド全土を統べるためなりき。」

「我が愛しき人は我に銀の指輪を与えし、
  それは万物を統べるためなりき。」

「その指輪の色が新しきを保つ時、
  汝は愛しき人が汝を愛するを知るべし。」

「その指輪が青ざめ、色褪せる時、
  汝は愛しき人が他の男を愛するを知るべし。」

彼は帆を上げ、遠くへ船出しぬ
  異国の地に着くまで。

彼が指輪を見し時、それは青ざめ、色褪せたり;
  曰く、「再び故郷に帰りたし。」

彼は帆を上げ、故郷へ船出しぬ
  己が国に着くまで。

彼が最初に出会ったのは、
  貧しき老いたる乞食の男なりき。

「いかなる知らせか? いかなる知らせか、我が貧しき老いたる者よ?
  我に語るべきいかなる知らせを持ちしや?」

「知らせなし、知らせなし」と貧しき男は言いたり、
  「されど、今日は我らが女王の婚礼の日なり。」

「汝の乞食の衣を我に貸すべし、
  さすれば我は汝に我が乗馬を貸すべし。」

「我が乞食の衣は汝には合わず、
  汝の乗馬は我には合わず。」

彼は貧しき老いたる乞食の男と交換せり。

「汝は如何なる道を行くを常とせしや?
  そして汝は如何なる言葉にて乞うを常とせしや?」

「汝がかの高き丘に至る時、
  汝は曲がれる弓を近くまで引くべし。」

「かの町の果てに着かば、
  汝の曲がれる弓を低く垂れさせよ。」

「聖ペテロのために糧を求め、聖パウロを尋ね、
  そして汝のハインド・ホーンのために全てを求めよ。」

「されど、彼らより何一つ受け取るなかれ、
  かの麗しき花嫁自身より得るまでは。」

彼、かの高き丘に着きし時、
  彼の曲がれる弓を近くまで引き寄せたり。

彼、かの町の果てに着きし時、
  彼の曲がれる弓を低く垂れさせたり。

彼、聖ペテロを求め、聖パウロを尋ね、
  そして彼のハインド・ホーンのために全てを求めたり。

されど、彼らより何一つ受け取らず、
  かの麗しき花嫁自身より得るまでは。

花嫁は階段を軽やかに下り来たり、
  その髪には赤き黄金の鱗を飾りて。

その手には赤き葡萄酒の杯を携え、
  貧しき乞食の男に与えんと。

彼、その葡萄酒の杯を飲み干し、
  その中に指輪を落とし入れたり。

「汝はそれを海にて得たるか、陸にて得たるか、
  それとも溺れし男の手より得たるか?」

「我はそれを海にて得ず、陸にて得ず、
  また溺れし男の手より得たるにあらず。」

「されど我はそれを求婚の折に得たり、
  そして汝の婚礼に与えん。」

「我は頭より黄金の鱗を取り去り、
  汝に従い、糧を乞わん。」

「我は髪より黄金の鱗を取り去り、
  汝に永遠に従わん。」

彼女は頭より黄金の鱗を取り去り、
  彼に従い、糧を乞いたり。

彼女は髪より黄金の鱗を取り去り、
  そして彼に永遠に従いたり。

台所と広間の間にて、
  彼、そのぼろ布の外套を落としぬ。

赤き黄金は彼ら全ての上に輝き、
  花嫁は花婿より奪い去られぬ。

ジョン・ブラウンの遺骸

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老いたるジョン・ブラウンの遺骸は墓に朽ち果て、
  自由と苦しめる黒人奴隷のために戦いしゆえに;
  老いたるジョン・ブラウンの遺骸は墓に朽ち果て、
  されど彼の魂は進軍し続ける。

合唱

栄光あれ、栄光あれ、ハレルヤ!
                       栄光あれ、栄光あれ、ハレルヤ!
                       栄光あれ、栄光あれ、ハレルヤ!
                       彼の魂は進軍し続ける。

彼は尊き殉教者、真なるジョン・ブラウン翁なりき;
  その小さき愛国者の隊は、尊き軍勢へと成長せり;
  彼は尊き殉教者、真なるジョン・ブラウン翁なりき,
  そしてその魂は進みゆく。

ジョン・ブラウンが命を失いし時まで、その全力を以て立ち上がりしは
  恐ろしき戦いに勝利せし連合軍の兵士たちなりき;
  されど、その喜ばしき出来事は、ああ!彼の目に触れることなかりき,
  それでもその魂は進みゆく。

ジョン・ブラウンは今や、天上の地にて兵士なり,
  そこには幸福なる魂たちが、調和と愛のうちに生きる,
  ジョン・ブラウンは今や、天上の地にて兵士なり,
  そしてその魂は進みゆく。

ティペラリー

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ある日、偉大なるロンドンへと一人のアイルランド人が来たりしに,
  道は黄金で敷き詰められしが故、皆陽気なりき;
  ピカデリー、ストランド、レスター・スクエアの歌を歌いしが,
  パディは興奮し、彼らに叫びしは:--

合唱

「ティペラリーまでは遥かなる道,
  行くべき道は長し;
  ティペラリーまでは遥かなる道,
  我が知る最も愛しき乙女の許へ!
  さらばピカデリー,
  さらば、レスター・スクエア,
  ティペラリーまでは遥か、遥かなる道なれど,
  されど我が心はそこにあり!」

パディはアイルランドのモリー・オーへと手紙を書きしに,
  「もし届かざれば、書きて我に知らせよ!」とありき。
  「もし綴りに誤りあらば、愛しきモリーよ、」と彼は言いし,
  「それは筆が悪しき故、我を責むるなかれ。」

モリーはアイルランドのパディ・オーへと丁寧なる返事を書きしに,
  「マイク・マロニーが我と結婚を望む故
  ストランドとピカデリーを去るか、さもなくば汝が咎められん,
  恋は我をすっかり愚かにせり――汝も同じならんことを願う!」」

イズリントンの代官の娘

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一人の若者ありき、皆に愛されし若者なりき,
    彼は郷士の息子なりき:
  彼は代官の愛しき娘を恋い慕いし,
    イズリントンに住みし娘を。

されど彼女は恥じらい、信じようとはしなかった
    彼がかくも彼女を愛していることを、
  否、いかなる時も彼女は
    彼に顔を見せようとはしなかった。

されど彼の友ら、
    彼の愚かなる心を悟りし時、
  彼を美しきロンドンへと送り出し、
    徒弟として縛りつけたり。

かくて七年の長き歳月が過ぎ、
    彼の愛する人を見ることもなく:
  彼女のために幾多の涙を流しぬ、
    彼女が我を少しも思わぬ時も。

その時、イズリントンの乙女らは皆
    遊び戯れに出でたり、
  されど代官の愛娘のみは異なり;
    彼女は密かに立ち去りぬ。

彼女は緑の衣を脱ぎ捨て、
    ぼろをまといて、
  美しきロンドンへと赴き、
    真実の愛を探し求めんとした。

彼女が街道を行くうち、
    暑く乾いた日和なれば、
  緑の土手に腰を下ろしたり、
    すると彼女の真実の愛が馬に乗り通りかかりぬ。

彼女は顔を赤らめ立ち上がり、
    彼の手綱を掴みたり;
  「一ペニー、一ペニー、親切な殿方よ」と彼女は言いたり、
    「それがわたくしの多くの苦しみを和らげましょう。」

「一ペニーを差し上げる前に、愛しき人よ、
    どうか、どこで生まれたか教えてくだされ:」
  「イズリントンにて、親切な殿方よ」と彼女は言いたり、
    「そこでわたくしは多くの侮辱を受けました。」

「頼む、愛しき人よ、ならば我に告げよ、
    おお、告げよ、汝は知るや否や
  イズリントンの代官の娘を:」
    「彼女は亡くなりました、殿方よ、ずっと昔に。」

「もし彼女が亡き者ならば、我が馬を取れ、
    鞍も手綱もまた然り;
  我は遠き国へと赴かん、
    誰も我を知らぬ地へと。」

「おお、とどまれ、おお、とどまれ、麗しき若者よ、
    彼女は汝の傍らに立ちて;
  彼女はここに生きており、死んではおらぬ、
    汝の花嫁となる用意あり。」

「おお、悲しみよさらば、喜びよ来たれ、
    ゆえに幾万回も;
  今や我は己の真実の愛を見つけたり、
    二度と会えぬとぞ思いたる人を。」

三羽のワタリガラス

272.jpg (71K)
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三羽の鴉、木に座りてありき、
    ダウン ア ダウン、ヘイ ダウン、ヘイ ダウン
  三羽の鴉、木に座りてありき、
    ダウンと共に
  三羽の鴉、木に座りてありき、
  彼らは限りなく黒かりき
    ダウン デリー、デリー、デリー、ダウン、ダウンと共に

そのうちの一羽、連れに言いき、
  「我らは何処にて朝餉を摂るべきか?」

「かの緑の野の奥深く、
  盾の下に、討たれし騎士が横たわる。」

「その猟犬どもは、彼の足元に伏し、
  かくもよく、主を守りてあり。」

「その鷹どもは、かくも熱心に飛び交い、
  いかなる鳥も、彼に近づくこと能わず。」

そこに一頭の淡黄色の雌鹿、現れき、
  身重にて、歩むもままならぬほどに。

彼女は彼の血塗られし頭を抱き上げ、
  赤き傷口に口付けたり。

彼女は彼を背に乗せ、
  土の湖へと運び去りぬ。

彼女は彼を、第一時課の前に埋葬し、
  彼女自身は、晩課の時を待たずして息絶えたり。

神よ、全ての紳士に与え給え、
  かかる鷹、かかる猟犬、そしてかかる愛人を。

放浪の物乞い男

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ずる賢き老いたる男、牧草地を越えて来たり、
  我に幾度も「良き夕べを」「良き日を」と挨拶しつつ、
  曰く、「奥方よ、貴女の慈悲によりて、
    この愚かなる貧しき男を泊めてはくれまいか?」と。
  夜は冷え、男は濡れており、
  炉端の奥に座りたり。
  我が娘の肩を叩き始め、
    陽気に騒ぎ、歌いし。」

「おお、驚きよ!」と彼が言いき、「もし我、自由なる身ならば、
  初めてこの国を見た時と同じく、
  いかに陽気に、いかに楽しくあらん!
    そして決して退屈せざらん。」
  彼は陽気になり、彼女は喜びに満ちたり;
  されど、その老いたる母は知る由もなし、
  このずる賢き二人が共に何を語りしを、
    彼らがかくも熱心に求愛し合いし時を。」

「おお!」と彼が言いき、「もし汝が、かくも黒きならば、
  汝の父の帽子の頂のごとく、
  我は汝を背に乗せ、
    我と共に去らん。」
  「おお!」と彼女が言いき、「もし我、かくも白きならば、
  土手に積もりし雪のごとく、
  我は身を飾り、淑女のごとく装い、
    汝と共に去らん。」

二人の間に企みがなされ、
  鶏が鳴く少し前に彼らは起き出し、
  狡猾にも錠を外し、
    急ぎ草むらへと去りぬ。
  翌朝、老いたる妻は起き上がり、
  ゆったりと衣を身につけ、
  その後、召使いの寝床へと向かい、
    愚かなる貧しき男の行方を尋ねたり。

彼女は物乞いが横たわりし寝床へと赴き、
  藁は冷たく、男は既に去りぬ。
  彼女は手を打ち鳴らし、叫びぬ、「悲しき日よ!」
    「我らの財の一部が失われしや。」
  ある者は長持へ、ある者は櫃へと走りしが、
  失われたと気づくべき盗品は何もなし。
  彼女は一人踊り、叫びぬ、「祝福あれ!」
    「我は誠実なる貧しき男を泊めしなり。」

何も失われぬと知れたる今、
  攪乳器を回し、乳を稼ぐべし。
  娘よ、家の奥へ行き、我が子を起こし、
    速やかにこちらへ来るよう伝えよ。
  召使いは娘が横たわりし場所へと赴き、
  シーツは冷たく、娘は既に去りぬ。
  そして急ぎ女主人に告げたり、
    「彼女は物乞い男と共に行きしなり。」

おお、馬を走らせ、駆け巡れ、
  急ぎて、再びこの裏切り者どもを見つけ出せ。
  彼女は焼かれ、彼は殺されん、
    あの忌まわしき物乞い男も。
  ある者は馬に乗り、ある者は徒歩で走りしが、
  妻は狂乱し、正気を失いし。
  彼女は歩くことも、座ることもできず、
    ただひたすらに呪詛を吐き、罵りたり。

その間、遥か彼方の牧草地の向こう、
  誰にも見えぬ谷間にひっそりと、
  二人は優しき戯れと喜びと共に、
    新しきチーズより一切れを切り取りぬ。
  その味は良く、二人を共に喜ばせたり。
  永遠に彼女を愛さんと、彼は誓いを立てたり。
  彼女は言いたり、「汝を去るは、我には厭わしきこと、
    我が愛しき物乞い男よ。」

ああ、もし母が私があなたといると知ったら、
  彼女は不機嫌に口を曲げるだろう、
  そのような貧しい男を彼女は決して信じないだろう、
    旅の物乞いの後を追うなど。
  「わが愛しき人よ」と彼は言った、「お前はあまりにも若すぎる、
  そして物乞いの言葉も学んでおらぬ、
  町から町へと私について回り、
    物乞いの暮らしを続けるには。」

チョークとキールで、私はお前の糧を得よう、
  そして必要な者には紡錘と糸巻きを、
  それはまことに高貴な商売、
    旅の物乞いを続けるには。
  私は足を曲げ、膝をかがめ、
  目に黒い布を当てよう、
  彼らは私を足萎えか盲人と呼ぶだろう:
    その間、我らは歌い、陽気に過ごそう。

アッシャーの泉の妻

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アッシャーの泉に一人の妻が住んでいた、
    彼女は裕福な妻であった;
  彼女には三人の頑健でたくましい息子がおり、
    彼らを海へと送り出した。

彼らが彼女のもとを離れて一週間も経たぬうちに、
    わずか一週間ばかりで、
  その老いた妻のもとに知らせが届いた、
    彼女の三人の息子たちが逝ってしまったと。

彼らが彼女のもとを離れて一週間も経たぬうちに、
    わずか三週間ばかりで、
  その老いた妻のもとに知らせが届いた、
    彼女はもう二度と息子たちに会えぬだろうと。

「「風が止むことなく、
    洪水が荒れ狂うことなく、
  私の三人の息子たちが私のもとへ帰ってくるまで、
    この世の肉と血をもって。」」

それは聖マルティンの祝日頃のことであった、
    夜は長く、暗い頃、
  その老いた妻の三人の息子たちが家へ帰ってきた、
    そして彼らの帽子は白樺でできていた。

それは溝にも堀にも生えず、
    またいかなる窪地にも生えなかった;
  しかし楽園の門のそばで、
     その白樺は十分に美しく育っていた。

*       *       *       *       *

「「火を焚きなさい、娘たちよ、
    井戸から水を汲んで来なさい;
  今宵、私の家は皆で祝宴を開くのだ、
    私の三人の息子たちが無事なのだから。」」

そして彼女は彼らのために寝台を整えた、
    それは大きく、広々としたものであった、
  そして彼女はマントを身にまとい、
    寝台のそばに座った。

*       *       *       *       *

赤き、赤き雄鶏は鳴きし、
    そして灰色もまた鳴きし;
  長兄は末弟に告げし、
  「我ら立ち去る時ぞ。」

雄鶏は一度鳴きしばかり、
    そして翼を打ち鳴らしし時、
  末弟は長兄に告げし、
    「兄上、我らは去らねばならぬ。」

「雄鶏は鳴き、日は明け、
    蠢く虫は咎める;
  もし我らがその場を失わば、
    辛き苦痛を耐えねばならぬ。」

「さらば、我が愛しき母上!
    さらば、納屋と牛舎よ!
  そしてさらば、美しき乙女よ、
    我が母の火を熾す者よ!」

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偽り

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行け、魂よ、肉体の客よ、
    報われぬ使命を帯びて;
  最良の者に触れるを恐るるなかれ、
    真実こそ汝の保証とならん:
      行け、我は死なねばならぬゆえ、
      そして世に偽りを告げよ。

宮廷に告げよ、それは輝き、
    腐りし木のごとく光ると;
  教会に告げよ、それは示すと、
    善きものを示しつつ、善をなさぬと:
      もし教会と宮廷が答えるならば、
      両者に偽りを告げよ。

権力者らに告げよ、彼らは生きると、
    他者の行いによりて;
  与えねば愛されず、
    派閥によらねば強からずと;
      もし権力者らが答えるならば、
      権力者らに偽りを告げよ。

高位の者ら、
    国事を司る者らに告げよ、
  彼らの目的は野心なり、
    彼らの行いはただ憎悪なりと;
      そしてもし彼らが一度でも答えるならば、
      彼ら全てに偽りを告げよ。

最も勇敢を装う者らに告げよ、
    彼らは費やすことで更なるものを乞い、
  最大の出費において
    称賛のみを求めると;
      そしてもし彼らが答えるならば、
      偽りを告げるを惜しむなかれ。

熱意に告げよ、献身を欠くと;
    愛に告げよ、それはただの情欲なりと;
  時に告げよ、それはただの動きなりと;
    肉体に告げよ、それはただの塵なりと;
      そして彼らが答えぬことを願え、
      汝は偽りを告げねばならぬゆえ。

老いには告げよ、日々衰えゆくと;
    名誉には告げよ、いかに移ろうかと:
  美には告げよ、いかに枯れゆくかと;
    恩寵には告げよ、いかに揺らぐかと;
      そして彼らが答えるならば、
      彼ら一人一人に嘘を告げよ。

機知には告げよ、いかに多く争うかと
    繊細なる点の些事にて;
  知恵には告げよ、彼女はいかに絡まるかと
    過剰なる賢さの中に;
      そして彼らが答えるならば、
      直ちに彼ら双方に嘘を告げよ。

医術には告げよ、その大胆さを;
    技量には告げよ、それは見せかけなりと;
  慈悲には告げよ、その冷たさを;
    法には告げよ、それは争いなりと;
      そして彼らが答えるならば、
      かくして彼らに常に嘘を告げよ。

運命には告げよ、その盲目さを;
    自然には告げよ、その衰えを;
  友情には告げよ、その不親切さを;
    正義には告げよ、その遅延を:
      そして彼らが敢えて答えるならば、
      その時、彼ら全てに嘘を告げよ。

芸術には告げよ、それらに健全さなしと、
    ただ評価によりて移ろうのみと;
  学問には告げよ、それらは深遠さを欠くと;
    そして見せかけに重きを置きすぎると:
      もし芸術と学問が答えるならば、
      芸術と学問に嘘を告げよ。

信仰には告げよ、それは都を逃れしと;
    国がいかに過ちを犯すかを告げよ;
  男らしさには告げよ、憐れみを振り払うと;
    美徳には告げよ、最も軽んじられると:
      そして、もし彼らが答えるならば、
      嘘を告げることを惜しむなかれ。

されば、汝が、我
    命じしごとく、告げ口を終えし時、
  たとえ嘘を告げることが
    刺殺に劣らぬ報いを受けるとも、
      汝を刺す者あらば刺すがよい、
      いかなる刺傷も魂を殺すことはできぬ。

レディング監獄の歌

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彼は緋色の外套を纏わず、
    血と葡萄酒は赤きゆえ、
  そして血と葡萄酒は彼の手にありき
    彼らが死者と共に彼を見つけし時、
  彼が愛し、
    そして寝台にて殺めし哀れな死せる女と共に。

彼は囚人たちの間を歩みし
  粗末なる灰色の衣を纏いて
  頭にはクリケット帽を被り
  その足取りは軽やかにて陽気に見えし
  されど、かくも物憂げに一日を眺めし男を
  我はかつて見しことなし。

我はかつて見しことなし
  かくも物憂げなる瞳もて
  囚人たちが空と呼ぶ
  かの小さき青き天幕を
  そして銀の帆を掲げ
  過ぎゆく漂う雲々を眺めし男を。

我は他の苦しむ魂たちと共に歩みし
  別の囲いの中にて
  かの男が大いなることか
  小さきことか、いずれを為せしやと訝りし時
  背後より低き声が囁きし
  「あの男は吊るされる運命にある。」

おお、主よ! 牢獄の壁そのものが
  突如として揺らめくように見えし
  我が頭上の空は
  灼熱の鋼の兜と化し
  我は苦しむ魂なれど
  我が苦痛を感じ得ざりき。

我はただ、いかなる追われる思いが
  彼の足取りを速めしや、そして何故に
  彼がかくも物憂げなる瞳もて
  けばけばしき一日を眺めしやを知りしのみ
  かの男は愛するものを殺ししゆえ
  死なねばならぬ運命にありき。

*       *       *       *       *

されど、人は皆、愛するものを殺す
  皆、これを聞くべし
  ある者は苦々しき眼差しもてそれを為し
  ある者は媚びへつらう言葉もて
  臆病者は口づけもてそれを為し
  勇者は剣もて!

ある者は若き時に愛を殺し
  ある者は老いし時に
  ある者は欲望の手もて絞め殺し
  ある者は金銭の手もて
  最も優しき者はナイフを使う、何となれば
  死者はかくも早く冷たくなるゆえ。

ある者は愛しすぎぬ、ある者は愛しすぎる
  ある者は売り、ある者は買う
  ある者は多くの涙もてその行いを為し
  ある者は溜息一つなく
  何となれば、人は皆、愛するものを殺すなれど
  されど人は皆、死なず。

彼は恥辱の死を遂げず
暗き不名誉の日に
首に縄をかけられず
顔に布を覆われず
足から床を抜け落ちて
空虚な空間へと落ちることもない。

彼は黙した男たちと共に座らず
昼夜彼を見張る者たちと
彼が涙しようとするとき
彼が祈ろうとするときも
彼が自ら監獄から
その獲物を奪わぬよう見張る者たちと。

彼は夜明けに目覚めて
恐ろしき姿が部屋に群がるのを見ず
震える白衣の司祭
陰鬱に厳しき保安官
そして光沢ある黒衣の総督
破滅の黄なる顔を携えし者たちを。

彼は哀れなる急ぎ足で立ち上がらず
囚人服を身につけることもない
ある口汚き医師が嘲り、書き留める間
新たな神経の痙攣する姿勢を一つ一つ
小さな時を刻む音が
恐ろしき槌の打撃の如き時計を弄びながら。

彼はその忌まわしき渇きを感じず
喉を砂で満たすような渇きを
庭師の手袋をはめた絞首刑執行人が
詰め物された扉を通り抜けてくる前に
そして三本の革紐で縛りつけ
喉がもはや渇かぬように。

彼は頭を垂れて
埋葬の儀式が読まれるのを聞かず
魂の苦悶が
彼に死んでいないと告げる間も
自らの棺を横切り
忌まわしき小屋へと進むこともない。

彼は小さなガラスの屋根を通して
空を見つめることもなく
土の唇で祈ることもない
その苦悶が過ぎ去ることを
また、震える頬に
カイアファスの接吻を感じることもない。

六週間、衛兵は庭を歩みし
みすぼらしき灰色の服にて
彼のクリケット帽は頭にあり
その足取りは軽やかで陽気に見えしが
これほどまでに
物憂げに一日を見つめる男を私は見たことなし。

我はかつて見しことなし
    かくも物憂げなる眼差しにて
  囚人らが空と呼ぶ
    かの小さき青き天幕を
  見上げし男を、
    また、ほつれし羊毛を
  引きずるごとく過ぎゆく
    さまよえる雲を
  見つめし男を。

彼は手を揉みしことなし、
    黒き絶望の洞窟にて
  取り替え子を育てんと
    あえて試みる愚かなる者どものごとくには。
  彼はただ太陽を見上げ、
    朝の空気を飲みしのみ。

彼は手を揉みもせず、泣きもせず、
    また、覗き見もせず、思い悩むこともなし。
  されど彼は空気を飲みし、
    あたかも癒しの鎮痛剤を宿すがごとく。
  口を開きて彼は太陽を飲みし、
    あたかもそれが葡萄酒なりしがごとく!

そして我と、苦痛に喘ぐ全ての魂は、
    別の輪を巡りし者どもは、
  我ら自身が大いなることか、
    小さきことか、いずれを為ししかを忘れ、
  鈍き驚きの眼差しにて見つめし、
    吊るされねばならぬ男を。

彼がかくも軽やかで陽気な足取りにて
    過ぎゆくを見るは奇妙なりき、
  また、彼がかくも物憂げに
    一日を見つめるを見るは奇妙なりき、
  そして彼がかくも大いなる代償を
    払わねばならぬと考えるは奇妙なりき。

*       *       *       *       *

樫と楡は心地よき葉を持ち、
    春には芽吹きし。
  されど見るも恐ろしきは絞首台の木、
    毒蛇に噛まれし根を持ち、
  青かろうと枯れていようと、
    人が死なねばならぬ、その実を結ぶ前に!

最も高き場所は、世俗の者どもが皆求めし、
    かの恩寵の座なり。
  されど誰が、麻の縄に縛られ、
    高き足場の上に立つであろうか、
  そして殺人者の首輪を通して、
    空に最後の眼差しを送るであろうか?

愛と人生が麗しき時、
    ヴァイオリンに合わせて踊るは甘美なり。
  フルートに合わせ、リュートに合わせ踊るは
    優美にして稀なること。
  されど軽やかな足取りにて、
    空中で踊るは甘美ならず!

されば、好奇の眼差しと病める推測を以て
    我らは彼を日々見守り、
  我ら一人一人もまた
    同じ末路を辿るや否やと訝しむ。
  何となれば、誰にも知る由なし、
    彼の盲目の魂が、いかなる赤き地獄へと迷い行くかを。

遂には、死せる男はもはや歩まず
    囚人たちの間を。
  我は知る、彼が立ちておりしを
    黒き被告席の恐ろしき囲いの中に。
  そして、二度と彼の顔を見ることはあるまいと
    幸不幸にかかわらず、再び。

嵐の中すれ違う二艘の運命の船の如く
    我らは互いの道を交差させたり。
  されど、合図もせず、言葉も交わさず、
    語るべき言葉もなかりき。
  何となれば、我らは聖なる夜に出会わず、
    恥ずべき昼に出会いたりし故に。

牢獄の壁は我ら二人を囲み、
    我らは二人の追放されし者。
  世は我らをその心より突き放し、
    神もまたその慈悲より。
  そして、罪を待ち受ける鉄の罠は
    我らをその網に捕らえたり。

三.

債務者監房の庭の石は硬く、
    滴る壁は高くそびえたり。
  されば、彼はかの地にて外の空気を吸いし
    鉛色の空の下に。
  そして、両脇には看守が歩みし、
    かの男が死すことを恐れて。

あるいは、彼は昼夜を問わず
    彼の苦悶を見守る者たちと共に座りし。
  彼が立ち上がりて涙し、
    かがみ込みて祈りし時も、彼ら見守りし。
  彼自身が彼らの絞首台から
    その獲物を奪わぬよう、彼ら見守りし。

監獄長は規則法に
    厳格なりき。
  医師は死はただの
    科学的事実なりと語りき。
  そして、一日二度、牧師は訪れ、
    小さな小冊子を残したり。

そして、一日二度、彼は煙管を喫し、
    一クォートのビールを飲み干しき。
  彼の魂は断固としており、
    恐れを隠す場所はなかりき。
  彼はしばしば語りき、
    絞首刑の日が近いことを喜ぶと。

しかし、彼がかくも奇妙なことを言ったのは
    いかなる看守も問う勇気なし。
  見張りの運命をその務めとして与えられし者は
    その唇に鍵をかけ
  その顔を仮面とせねばならぬ。

さもなくば、彼は心を動かされ、
    慰めようと試みるかもしれぬ。
  殺人者の穴に閉じ込められし
    人の情けは、いかになすべきか?
  かかる場所にて、いかなる慈悲の言葉が
    兄弟の魂を救い得ようか?

輪の周りをだらりと揺れながら
    我らは愚者の行進を踏みしめた!
  我らは気にせず:我らが
    悪魔自身の旅団であることを知っていた。
  剃られた頭と鉛の足は
    陽気な仮面舞踏会をなす。

我らは鈍く血を流す爪にて
    タールまみれの縄をずたずたに引き裂き;
  扉を磨き、床をこすり、
    輝く手すりを清めた。
  そして、列をなして板に石鹸を塗り、
    桶をがたがた鳴らした。

我らは袋を縫い、石を砕き、
    埃まみれのドリルを回した。
  缶を叩き、賛美歌を叫び、
    水車で汗を流した。
  しかし、全ての男の心には
    恐怖が静かに横たわっていた。

それはあまりに静かに横たわり、日々は
    藻に絡まる波のように這い進んだ。
  そして我らは、愚者と悪漢を待つ
    苦き運命を忘れ去った。
  ある時、仕事から足を引きずって戻る途中、
    開かれた墓の傍らを通り過ぎるまでは。

あくびする口を開け、黄色の穴は
    生けるものを待ち構え;
  泥そのものが血を求め、
    渇いたアスファルトの輪へと叫び;
  そして我らは知っていた、夜明けが来る前に
    いずれかの囚人が吊るされるであろうことを。

我らは死と恐怖と運命に心を定め、
    まっすぐ進み入った。
  絞首刑執行人は、小さな袋を携え、
    闇の中を足を引きずりながら進み;
  そして我は、己が番号付けられし墓へと
    手探りで進むうち、身震いした。

*       *       *       *       *

その夜、空ろなる廊下には
    恐ろしき姿が満ちたりて、
  鉄の街を上り下り、
    聞こえぬ足音が忍び寄り、
  星を隠す格子越しには
    白き顔が覗き見しように見えたり。

彼、横たわりて夢見るが如し、
    麗しき牧草の地にて。
  見張りの者ども、彼の眠る様を見守りて、
    理解し得ざりき、
  いかにして斯くも甘き眠りにつけるやを、
    絞首吏が間近に控えるというに。

されど、泣くべき者、
    未だ泣かざる者には眠りなし。
  故に我ら――愚者、詐欺師、悪党ども――
    終わりなき夜警を続けたり、
  苦痛の手によりて、各々の脳裏には
    他者の恐怖が忍び入りたり。

ああ!恐ろしきことかな、
    他者の罪を感じるとは!
  罪の剣は、まさに内なる深きところまで
    その毒された柄まで突き刺さり、
  我らが流せし涙は、溶けた鉛の如く、
    我らが流さざりし血のために。

フェルトの靴を履きし看守ども、
    各々の錠前かかりし扉の傍らを忍び寄り、
  畏敬の眼差しにて覗き見れば、
    床には灰色の人影あり、
  彼ら、いかにして男どもが跪き祈るやと怪しむ、
    かつて祈りしことなき者どもが。

夜通し我ら、跪き祈りたり、
    屍を悼む狂える者どもよ!
  乱れし真夜中の羽飾りは、
    霊柩車の羽飾りを揺らし、
  そして海綿に染みし苦き葡萄酒こそ、
    悔恨の味なりき。

*       *       *       *       *

灰色の雄鶏鳴き、赤き雄鶏鳴けども、
    日は決して来たらず。
  歪みし恐怖の姿は、
    我らが横たわる隅にうずくまり、
  夜に歩みし悪しき精霊は皆、
    我らの前で戯れるように見えたり。

彼ら、滑るように過ぎ去り、速やかに滑り去り、
    霧の中を行く旅人の如く。
  彼ら、優雅なる回転とひねりをもって、
    リガドンの舞にて月を嘲り、
  形式ばりし足取りと忌まわしき優雅さにて、
    幻影どもは約束を果たしたり。

奇妙な身振りにて、彼らの行くを見たり、
    細き影、手を取りて:
  あたりを、あたりを、幻の行列にて
    彼らはサラバンドを踊りし:
  そして呪われし異形はアラベスクを織りなし、
    砂上の風の如く!

操り人形の回転にて、
    彼らはつま先立ちで軽やかに:
  されど恐怖の笛にて耳を満たし、
    恐ろしき仮面舞踏を導きし時、
  声高く歌い、長く歌いし、
    死者を呼び覚ますため歌いしなり。

「おお!」彼らは叫びし、「世は広し、
    されど縛られし手足は萎えゆく!
  一度、あるいは二度、賽を投ぐるは
    紳士の遊びなれど、
  罪と戯るる者は勝たず
    秘められし恥辱の館にて。」

これらの狂態は空虚なものではなく、
    かくも歓喜して戯れし:
  枷に囚われし生を送る者たち、
    その足、自由ならざる者たちには、
  ああ!キリストの御傷よ!それらは生けるものなり、
    見るも恐ろしきものなり。

ぐるぐると、彼らはワルツを踊り、絡みつき;
    にやつきながら二人組で旋回し;
  軽薄な女の気取った足取りにて
    階段を横歩きで上りし者もあり:
  そして微妙な嘲笑と、へつらいの目つきにて、
    各々、我らの祈りを助けしなり。

朝の風は呻き始めしが、
    されど夜は続きし:
  その巨大な織機を通じ、陰鬱の織物は
    一筋一筋紡がれるまで這い寄りし:
  そして、我らが祈るほどに、恐れを抱きしは
    太陽の裁きなり。

呻く風はさまよい巡りし
    涙する牢獄の壁を:
  鋼鉄の車輪の如く回りて
    時の歩みは這うが如く感じられしまで:
  おお、呻く風よ!我ら何をしでかしたるか
    かかる執事を持ちしとは?

ついに我は影の格子を見たり、
    鉛にて作られし格子窓の如く、
  我が三枚板の寝台に向かいし
    白塗りの壁を横切りて動くを、
  そして我は知れり、世界のどこかに
    神の恐ろしき夜明けが赤く染まりしを。

六時に我らは独房を清め、
    七時には全てが静まり返りしが、
  巨大なる翼のざわめきと羽ばたきが
    牢獄を満たすかのよう、
  氷の息吹を吐く死の主が
    殺戮のために入り来たりしゆえ。

彼は紫の威厳を纏いて過ぎ去らず、
    月白き駿馬に跨りもせず。
  三ヤードの縄と滑り板こそ
    絞首台が要する全てなれば、
  されば恥辱の縄を携え、使者は来たりて
    密かなる業を成し遂げん。

我らは沼地を彷徨う者の如く、
    穢れたる闇の中を手探りし。
  祈りを捧ぐる勇気もなく、
    苦悩を解き放つことも叶わず。
  我ら各々の内に何かが死に絶え、
    死に絶えしものこそ希望なりき。

人の厳しき正義は己が道を往き、
    脇道に逸れることなし。
  弱きを殺し、強きを殺し、
    恐ろしき足取りにて進む。
  鉄の踵にて強きを殺す、
    この恐るべき親殺しよ!

我らは八時の鐘を待ちわびし、
    各々の舌は渇きに厚く。
  八時の鐘は運命の鐘なれば、
    人を呪われし者となす。
  運命は滑る縄を用いん、
    最良の者にも最悪の者にも。

我らに為すべきこと他になく、
    来たるべき合図を待つのみ。
  されば、孤なる谷の石の如く、
    静かに座し、口を閉ざし。
  されど各々の心臓は厚く速く打ち鳴り、
    狂人が太鼓を叩くが如く!

突然の衝撃と共に牢獄の時計が
    震える空気に打ち鳴らされ、
  牢獄の全てより嘆きの声が上がりしは
    無力なる絶望の。
  恐れおののく旅人が聞く音の如く、
    隠れ家なる癩病者より発せられし。

夢の水晶に最も恐ろしきものを見るが如く、
    我らは脂ぎりし麻縄を見たり、
  黒ずみし梁に掛けられしを。
  そして絞首人の罠が祈りを
    叫びへと絞め殺す音を聞きし。

彼をかくも動かしし全ての悲しみ、
    彼がかの苦き叫びをあげしこと、
  そして荒ぶる後悔と、血の汗と、
    我ほどよく知る者なし。
  幾つもの生を生きる者は
    幾つもの死を死なねばならぬゆえ。

人を吊るすその日には
    礼拝堂は開かれず。
  司祭の心は病みすぎ、
    その顔はあまりに青ざめ、
  あるいはその瞳には
    誰も見るべからざるものが記されしゆえ。

かくして我らは正午近くまで閉じ込められ、
    やがて鐘は鳴り響き、
  鍵をじゃらつかせし看守らは
    耳を澄ます独房を一つ一つ開け放ち、
  我らは鉄の階段を下りて踏みしめゆき、
    各々が己が別々の地獄より出でし。

神の甘き大気の中へ我らは出でしが、
    常の如くにはあらず。
  この男の顔は恐怖に白く、
    かの男の顔は灰色なり。
  かくも物憂げに一日を眺めし
    悲しき人々を我はかつて見ず。

我はかつて見ず、かくも物憂げな瞳にて
    かの小さき青き天幕を眺めし悲しき人々を、
  我ら囚人らが空と呼びしものを、
    そして、かくも奇妙な自由さにて
  通り過ぎゆく全ての楽しげな雲を。

されど我らの中には、
    うつむきて歩みし者どもあり。
  各々が然るべき報いを受けしならば、
    彼らこそ死すべきであったと知りて。
  彼はただ生けるものを殺せしのみ、
    彼らは死せるものを殺せしに。

二度罪を犯す者は
    死せる魂を苦痛へと目覚めさせ、
  その汚れたる屍衣より引き出し、
    再び血を流させ、
  大いなる血の塊を流させ、
    徒に血を流させるなり!

*       *       *       *       *

猿か道化の如く、異形の衣を纏い
    曲がれる矢にて飾られし、
  我らは黙してぐるぐると巡りし、
    滑らかなるアスファルトの庭を。
  我らは黙してぐるぐると巡りし、
    そして誰も一言も語らず。

静かに我らは巡り巡り、
    そして虚ろなる心々を貫き
  恐ろしき事どもの記憶は
    恐ろしき風の如く吹き荒れ、
  恐怖は各人の前に忍び寄り、
    戦慄は背後に這い寄る。

*       *       *       *       *

監視兵らは闊歩し、
    獣の群れを見張る。
  彼らの制服は清潔にして整い、
    日曜の晴れ着を纏えど、
  我らは彼らの為したる業を知りぬ、
    その靴に付着せし生石灰によりて。

墓穴が大きく開かれし処に、
    墓など一片もなし。
  ただ泥と砂の広がりあるのみ、
    忌まわしき牢獄の壁の傍らに、
  そして燃え盛る石灰の小山、
    それこそが男の棺覆いとなるべし。

この哀れなる男には棺覆いあり、
    稀なる者のみが主張し得るもの。
  牢獄の庭の深き底に、
    更なる恥辱のために裸にて、
  両足に足枷を嵌められ横たわり、
    炎の衣に包まれり!

そしてその間ずっと燃え盛る石灰は
    肉と骨を蝕み尽くす、
  夜には脆き骨を食らい、
    昼には柔らかき肉を食らう、
  肉と骨を交互に食らうが、
    しかし常に心臓を食らう。

*       *       *       *

三年の長きにわたり、彼らは種を蒔かず、
    根も苗もそこに植えぬ。
  三年の長きにわたり、その呪われし地は
    不毛にして荒れ果て、
  驚き見つめる空を仰ぎ、
    咎めなき眼差しを向けるであろう。

彼らは殺人者の心が汚すであろうと考える
    彼らが蒔く一つ一つの素朴な種を。
  それは真ならず!神の慈悲深き大地は
    人の知るよりも慈悲深く、
  赤き薔薇はただ一層赤く咲き、
    白き薔薇は一層白く咲くであろう。

彼の口よりは赤き、赤き薔薇!
    彼の心よりは白き薔薇!
  いかなる奇妙なる道によりてか、誰が言えよう、
    キリストがその御心を顕現させ給うかを、
  巡礼者が携えし不毛なる杖が
    偉大なる教皇の御前で花開きてよりは。

されど乳色の薔薇も紅き薔薇も
    牢獄の空には咲くまじ。
  陶片、小石、そして火打石こそ、
    彼らが我らに与えしもの。
  花は人の絶望を癒すものと
    知られしゆえに。

ゆえに葡萄酒色の薔薇も白き薔薇も、
    花びら一枚一枚、落ちることはあるまじ
  あの忌まわしき牢獄の壁の傍らに
    横たわる泥と砂の広がりには。
  庭を歩む男たちに告げるため、
    神の子が皆のために死せしことを。

されど忌まわしき牢獄の壁は
    なお彼をぐるりと囲み、
  足枷に縛られし魂は
    夜には歩むこと能わず、
  かかる不浄の地に横たわる魂は
    ただ涙するのみ。

彼は安らぎにあり――この哀れな男は――
    安らぎに、あるいは間もなくそうなるであろう。
  彼を狂わせるものは何もなく、
    恐怖も真昼には歩まぬ。
  彼が横たわる灯なき大地には
    太陽も月もなきゆえに。

彼らは獣を吊るすがごとく彼を吊るし、
    彼の驚きし魂に安らぎをもたらすであろう
  鎮魂の鐘すら鳴らさず、
    急ぎ彼を運び出し、
  穴に隠しぬ。

看守たちは彼の衣を剥ぎ取り、
    蠅に与えぬ。
  彼らは腫れ上がった紫の喉を嘲り、
    見開かれし虚ろな目を嘲りぬ。
  そして大声で笑いながら、囚人が横たわる
    屍衣を積み重ねぬ。

司祭は彼の汚されし墓の傍らに
    跪き祈ることもせず、
  罪人のためにキリストが与えし
    聖なる十字架で印すこともせず。
  なぜならば、その男はキリストが
    救うために降り来たりし者の一人であったゆえに。

されど全てはよし。彼はただ
    生が定めし終焉へと過ぎ去りしのみ。
  そして異邦の涙が彼のために
    憐れみの久しく砕けし骨壺を満たすであろう。
  彼の弔う者は追放されし者たちであり、
    追放されし者は常に嘆き悲しむゆえに。

法が正しきか、
    あるいは誤りか、我は知らず。
  牢獄に臥す我らが知るは、
    ただ壁の堅固なるのみ。
  そして、日々は年月の如く、
    その日々の長きことよ。

されど、これぞ知る、人、
    人のために定めし全ての法は、
  人が初めて兄弟の命を奪い、
    悲しき世が始まりしより、
  悪しき扇にて麦を散らし、
    籾殻のみを留めるものなり。

これもまた知る――もし皆が
    同じく知らば、賢明なるべし――
  人が築く全ての牢獄は、
    恥辱の煉瓦にて造られ、
  キリストが人の兄弟を傷つける様を
    見ぬよう、鉄格子にて閉ざされしを。

鉄格子は優しき月を曇らせ、
    麗しき日を盲目となす。
  彼らが地獄を隠すは宜なるかな、
    その内にて行わるる事どもは、
  神の子も人の子も、
    決して見るべからざるものなれば!

*       *       *       *       *

最も忌まわしき行いは、毒草の如く、
    牢獄の空気に咲き誇る。
  人の善なるもののみが、
    かの地にて朽ち果て、萎えゆく。
  青ざめた苦悶が重き門を守り、
    看守は絶望なり。

彼らは怯えし幼子を飢えさせ、
    昼夜を問わず泣かしむ。
  弱き者を鞭打ち、愚か者を打ち据え、
    老いし白髪の者を嘲る。
  ある者は狂い、皆が悪しき者となり、
    誰一人として言葉を発すること能わず。

我らが住まう狭き独房は、
    穢れた暗き便所なり。
  生ける死の悪臭は、
    格子戸の全てを塞ぎ、
  欲望を除き、全ては塵と化す、
    人の機械の中で。

我らが飲む塩辛き水は、
   忌まわしき粘液を這わせ、
  彼らが秤にかける苦きパンは、
   白墨と石灰に満ち、
  眠りは横たわらず、狂える眼差しで歩き回り、
   時に向かい叫ぶ。

*       *       *       *       *

されど、痩せたる飢えと青き渇きが
   毒蛇と蝮のごとく争えど、
  我らは牢獄の糧を顧みず、
   身を凍らせ、命を奪うものは
  日ごとに持ち上げし石の一つ一つが
   夜には己が心となることなれば。

常に心に真夜を抱き、
   独房には黄昏を宿し、
  我らは手回し機を回し、あるいは縄を引き裂く、
   各々が己が別々の地獄にて、
  そして沈黙は、遥かに恐ろしきもの、
   真鍮の鐘の音よりも。

人の声は決して近づかず
   優しき言葉を語ることもなし。
  扉越しに見張る眼差しは
   無慈悲にして厳しきもの。
  皆に忘れられ、我らは朽ち果て、
   魂も肉体も傷つきしままに。

かくして我らは人生の鉄鎖を錆びさせ、
   堕落し、孤独なり。
  ある者は呪い、ある者は涙し、
    ある者は嘆きもせぬ。
  されど神の永遠の法は慈悲深く、
    石の心をも打ち砕く。

そして、牢獄の独房にて、あるいは庭にて
    打ち砕かれし人の心は皆、
  主へとその宝を捧げし
    砕かれし箱のごとく、
  穢れたるらい病患者の家を
    最も高価なるナルドの香りで満たしき。

ああ!心砕かれ、
    赦しの平安を得る者たちは幸いなり!
  いかにして人はその道を正し、
    魂を罪より清め得ん?
  砕かれし心を通さずして、
    いかにして主キリストは入り給わん?

*       *       *       *       *

そして、腫れ上がりし紫の喉と、
    硬く見開かれし眼を持つ彼は、
  盗人を楽園へと導きし
    聖なる御手を待ち望む。
  砕かれ、悔い改めし心は
    主は決して蔑み給わぬ。

法を読み聞かせし赤き衣の男は
    彼に三週間の命を与えき。
  その魂の葛藤より癒え、
    魂を清めるための三週間、
  そして、ナイフを握りし手を
    あらゆる血の染みより清めるための。

血の涙もて彼はその手を清めぬ、
    鋼を握りしその手を。
  血のみぞ血を拭い去り、
    涙のみぞ癒し得るなれば。
  カインの紅き染みは
    キリストの雪白き印となりぬ。

レディングの町なるレディング監獄には
    恥辱の穴あり、
  その中に横たわるは哀れな男、
    炎の歯に食い荒らされ、
  燃え盛る経帷子に包まれ横たわり、
    その墓には名もなし。

そしてそこにて、キリストが死者を呼び出すまで、
    彼を静かに横たえさせよ。
  愚かな涙を無駄にする必要もなく、
    空虚なため息をつく必要もなし。
  男は愛するものを殺し、
    故に死なねばならぬ。

そして人は皆、愛するものを殺す、
    このこと皆に聞かせよ、
  ある者は苦い眼差しで、
    ある者は甘言で、
  臆病者は口づけで、
    勇者は剣で!

付録

「パーシーの遺物集」より――第一巻。

陽気な公爵

ペピス・コレクション所蔵のゴシック体写本より印刷。

エストメア王

このバラッドは二つの版から採られたもので、一つはパーシー・フォリオ写本に収められ、かなりの古さを持つ。原版はおそらく十五世紀末に書かれたものであろう。

ロビン・フッドとギズボーンのガイ

ロビン・フッドに関する最も初期のバラッドの一つ――パーシー・フォリオ写本より。

コフェチュア王と乞食の乙女

このバラッドは、リチャード・ジョンソンの『黄金の薔薇の冠の飾り』(1612年)より印刷された。

灰色の修道服の修道士

このバラッドは、シェイクスピアの戯曲全体に見られる無数の古代バラッドの小片から構成されており、トマス・パーシーが一つにまとめたものである。

サー・アルディンガー

パーシー・フォリオ写本より与えられ、物語を完結させるためにトマス・パーシーによっていくつかの追加のスタンザが加えられた。

エドム・オ・ゴードン

スコットランドのバラッド――この版は、1755年にグラスゴーにてロバート
アンドリュー・フーリスにより印刷されしものなり。同じバラッドの断片より、パーシー・フォリオ
写本より見出されし幾つかの詩節を以て増補されしものなり。

パーシー・フォリオ写本より、ブラックレターにて印刷されし二、三の他本により訂正されしものなり。
エリザベス女王の御代に書かれしものと推測せらる。

サー・ランスロット・デュ・レイク

印刷されし写本より与えられしもの、
パーシー・フォリオ写本よりの抜粋により一部訂正されしものなり。

エルの子

一部はパーシー・フォリオ写本より、元の写本が不完全にして破損せし故に、幾つかの
詩節はパーシーにより追加されしものなり。

エドワード四世とタムワースの革なめし職人

このバラッドの本文は、ブラックレターにて書かれし二つの写本より選ばれしものなり。一つは
ボドリアン図書館に蔵せられ、1596年にロンドンにてジョン・ダンターにより印刷されしもの。
他の一本は、日付なきものにして、ペピス・コレクションよりのものなり。

サー・パトリック・スペンス

スコットランドより伝えられし二つの手書き写本より印刷されしものなり。
このバラッドは史実に基づきしものなるやも知れぬ。

エドワード、エドワード

古きスコットランドのバラッド――スコットランドより伝えられし手書き写本より。

リア王と三人の娘たち

『黄金の花環』に収められし古きブラックレター版よりの写し、
『リア王と三人の娘たちの死を悼む歌』と題されしものなり。

ガバーランジー・マン

このバラッドは、スコットランドのジェームズ五世により書かれしものと伝えらる。


『パーシー遺稿集』より――第二巻。

騎士と羊飼いの娘

古きブラックレター版の写本より印刷されしもの、幾つかの
訂正を加えられしものなり。

ジョン王とカンタベリーの修道院長

このバラッドは、ジェームズ一世の御代に、より古きものより短縮され、現代風に改められしものなり。
『ジョン王とカンタベリーの司教』と題されしものなり。
ここに示されし版は、古きブラックレター版の写本よりのものなり。

バーバラ・アレンの残酷

幾つかの訂正を加えられ、古きブラックレター版の写本より与えられしもの、
『バーバラ・アレンの残酷、あるいは若者の悲劇』と題されしものなり。

美しきロザモンド

ここに示されたこのバラッドの版は、四つの古き
ブラックレター版の写本より採られたものなり。そのうち二つはペピーズ図書館に所蔵されしものなり。トーマス・デローンによるものなり。
初版は1612年に印刷されし。

少年とマント

これは、古きバラッドを改訂し、現代風に仕立て直した版なり。

リンの相続人

パーシー・フォリオ写本より採られ、トーマス・パーシーにより幾つかの追加の
詩節が補われし。

アンドリュー・バートン卿

このバラッドはパーシー・フォリオ写本より採られ、ペピーズ・コレクションに所蔵されし古きブラックレター版の写本よりの追加と
修正が加えられしものなり。
おそらく十六世紀の終わりに書かれしものと推測される。

ベドナル・グリーンの乞食の娘

パーシー・フォリオ写本より採られ、二つの古き印刷された写本よりの幾つかの追加と
変更が加えられし。

勇敢なるウィロビー卿

古きブラックレター版の写本より採られし。

スペインの貴婦人の恋

古きブラックレター版の写本の版にして、一部は
パーシー・フォリオ写本より編集されし。

ギル・モーリス

ここに示されしこのバラッドの版は、1755年にグラスゴーにて印刷されし。
この日付以降、十六の追加の詩節が発見され、
元のバラッドに加えられし。

チャイルド・ウォーターズ

パーシー・フォリオ写本より、訂正を加えられし。

イズリントンの代官の娘

ペピーズ・コレクションに所蔵されし古きブラックレター版の写本より。

ウォルター・ローリー卿による。この詩は、
『デイヴィソンの詩、あるいは六巻に分かたれし詩的狂詩曲...
第四版、新たに訂正増補され、読者により喜ばるる形式に整えられし。』
と題されし稀なる詩集より採られし。ロンドン、1621年。


『イングランドとスコットランドのバラッド』より。

メイ・コリン

アボッツフォードに所蔵されしウォルター・スコット卿コレクションの写本より、
『スコットランドのバラッド、国境吟遊詩のための資料』。

詩人トーマス

『スコットランドのバラッド、国境吟遊詩のための資料』、九十七番、
アボッツフォード。ウォルター・スコット卿コレクションより。1806年5月27日、ロンドンのクリスティアナ・グリーンウッド夫人によりウォルター卿に伝えられし。

若きベイチャン

ジェイミソン=ブラウン手稿より、1783年。

クラーク・コルヴィル

ウィリアム・タイトラーのブラウン手稿第13番の写しより。

マール伯爵の娘

ブキャンのスコットランド北部民謡集より、1828年。

ハインド・ホーン

マザーウェルの手稿より、1825年以降。

三羽のワタリガラス

メリスマテ。音楽的幻想。宮廷、都市、田舎の
気質に合うもの。
ロンドン、1611年。(T. レイヴンズクロフト)

アッシャーの泉の妻

スコットランド国境の吟遊詩集より印刷、1802年。

*       *       *       *       *

マンダレー

ラドヤード・キプリング作。

ジョン・ブラウンの遺体

ティペラリーまで長い道のり

ジャック・ジャッジとハリー・ウィリアムズ作。

リーディング監獄のバラッド

オスカー・ワイルド作。

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